ソフトバンクの隠れた稼ぎ場所 〜アクセスチャージ編〜

皆さんは覚えているでしょうか?昔、携帯電話料金は相手の電話会社や時間帯や相手のいる場所(!)によって細分化された料金設定があったことを...。そして2010年の現在はユーザーの利便性を考慮して、相手がどこにいようと、どの電話会社(キャリア)であろうと、何時であろうと30秒あたり21円などのように決まっている料金プランがほとんどです(注)。

(注)いまでも残っています。たとえばmovaの旧料金体系

ところが実際は、ドコモの電話からソフトバンクの電話に通話すると、ドコモのユーザーが支払った料金のうち、一定量ソフトバンクに支払うことになっています。これは着信するユーザーがソフトバンクのため、ドコモがソフトバンクの回線を利用して相手につないだという考えに基づきます。この着信する側の設備の使用料がいわゆる「接続料」です。この接続料、通信会社によって実はまちまちなのです。ドコモとauはシェアが25%以上あるため、その接続料金の算定根拠を開示する義務があり、1秒あたりxx円と公表されています。3社の接続料はここに出ています。これを見るとソフトバンクが相対的に高いことがわかります。つまりソフトバンクとしてはユーザーが増えて、他のキャリアから電話が多くかかってくれば儲かる仕組みになっているのです。別に発信してくれなくてもいいのです。着信だけでもしてくれれば。
さて、この算定根拠や仕組みなどについてはいろいろ議論があるのですが、下の参考記事によると、

古川氏は「ドコモからソフトバンクモバイルに対して支払っている接続料は、100億円単位のレベル。トラフィックとしては同じくらい」と説明していた。
(参考)ドコモ古川氏、「全キャリアで接続料算定基準の透明化を」

ということのようです。つまり、ドコモのシェアがざっくり5割、ソフトバンクのシェアがざっくり2割という状況でも、トラヒック(簡単にいえば通話時間の総量)は「docomoSoftbank」と「Softbankdocomo」でだいたい一緒なんだけど、接続料が違うからドコモはソフトバンクに毎年100億円ぐらい支払っているということになります(相殺しているはずなのでSoftbankからの支払いは0円)。つまりドコモユーザーが支払った料金はドコモだけに入っているわけではなくて、ソフトバンクの懐に入っているわけです。これが隠れた稼ぎ場所の2つ目です。

ホワイトプランで深夜1時から夜21時まではソフトバンク同士通話無料なので、この時間帯はソフトバンクとしてはまるで儲けがないように見えますが、実は他のキャリアへの発信だけではなく、着信するだけでもがっちり儲けられるようになっていたわけです。ということがわかれば、時間帯限定とはいえソフトバンクどうし通話料無料にまでして、ソフトバンクがシェアを伸ばそうとしてきたかがわかるかと思います。

1つ大きな誤算は、iPhoneが2台目端末として流行したところにあるのではないかと思います。つまり普通に通話するときは無料通話分がついているドコモ端末で、ソフトバンク同士で通話無料の時間帯ならiPhoneで、と活用している方も多いのではないかと思います。そうなると接続料収入は期待通りには入ってこなくなります。月月割の割引対象からホワイトプラン基本料金を除外したことも密接にかかわっている気がします。

経済学部、経営学部の学生の方の中には携帯電話会社について研究している方もいるのではないでしょうか?ぜひ各社の戦略、行政の方向性などを踏まえて、深く研究して発表してください。

(参考)これで携帯電話の通話料が安価に?総務省が「接続料」を引き下げへ