ウィルコム定額のしたたかな罠

ウィルコムが定額通話サービスを始めることを発表したことは昨日も書きましたが、今日はもう少し掘り下げて見たいと思います。

現状のウィルコムは加入者が減少し続けていて資源が余ってる状態です。また昔はデータ通信定額で名をはせたウィルコムも現在のケータイの速度とは比較にならず、今のところ一般向けのデータ通信加入者の伸びは期待できない状況です。PC持ち歩きではなくてスマートフォンを持つことで用が足りている人も多いですからね。そのような状況の中で加入者増を目指して打ち出してきたのが「だれとでも定額」です。

ソフトバンクの支援で再スタートを切るウィルコム、もう宣伝もソフトバンク流です。たぶん広告の絵だけ見たらソフトバンク?と思う人は多いでしょう。

さて、この誰とでも定額ですが、基本料に980円を支払うと『10分以内の通話を500回できる』という野心的なプランです。昔から印象深い固定電話で市内通話の「3分10円」で換算しても、1回40円×500回だと2000円になります。いかに安いかがわかると思います。ではなぜこのようなプランを提供できるのでしょうか?

正確なデータはないので憶測ですが、恐らくモバイルの電話の用途として「短い通話」と「長い通話」に結構分かれるのではないか?と思います。つまりほとんどは短い時間で用が足りる、恋人同士など自宅で話すときは極端に長く話すというようになっているのではないかと思います。これは多くの方のケータイをお使いの方も納得できるのではないでしょうか?
そして長い電話をするにしても、恋人に9分ごとに切断して再度接続するコールは多くない(もしくは10分超えて通話してくれる)でしょう。いやよほど相手の懐を心配してくれる女性ならそうしても許してくれるかもしれませんが、好きな人にそれをしたらけちな奴と思われるでしょうから一旦切断なんてしないような気がします(笑)。

さらに、加入者が増えていけばウィルコム同士の通話が増えて他社への支出は0に等しくなり、他社から電話を受ける数が増えて、アクセスチャージで稼ぐことができる(これはソフトバンクモバイルが今やっていることそのもの)という循環を生み出すことができます。

このプラン、沖縄や北海道などでテストをしてきているんですが、その結果として、『定額加入者×980円より他社へ支払うアクセスチャージ(と、もらえるアクセスチャージの差額)が少なかった』という事実があるということだけは言えるのだと思います。全ての人がauとドコモ宛てに9分59秒で切断する通話を月500回したらウィルコムはやっていけないでしょう。

結局のところ『10分間の電話を500回できる』というのは宣伝文句としてはユーザーの心に響くけど、大半の人はそれほど使わないとみている証拠ですね。1日17回10分間電話しますか?(合計170分=2時間50分/day)

今でも学生や恋人の間ではウィルコム同士通話無料にひかれて持っている人が多いようです。auは指定番号だけですし、ソフトバンクは21:00〜1:00は無料ではないですからね。Skype auなら・・・どうなるでしょうか?

基本的にはビジネスユーザーが中心になるのではないかという気がします。会社や顧客に教える番号としてはこれほど便利な番号はないような気がします。ただ昨日書いた通り、新たに加入する方は本当に2430円2台目を持つのと、今のケータイの料金プランを眺めてどちらがいいかを少し冷静に考えた方がいいと思います。端末も実質0円であってもただでもらえるわけではないですからね。